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平成29年度 日本道徳教育学会 神奈川支部
第5回 研究大会

2017.12.23
於 川崎市立 上丸子小学校

 
平成29年12月23日(土)、5回目の「日本道徳教育学会神奈川支部」  
研究大会が開催されました。昨年度に引き続き、川崎市立上丸子小
学校の特別活動室で行われました。年末の忙しい時期にもかかわらず、
神奈川県に限らず、愛知や新潟など各都県から多くの参加がありました。
例年をはるかに超えた会場定員いっぱいの参加者で熱気がある研究
大会になりました。






 1、開会挨拶

 2、日本道徳教育学会 神奈川支部 田沼支部長 挨拶


   
・「道徳が教科化になり、本当に変われるのか。」何を変えるのか。
    指導要領が変われば、指導も変わってくるはずである。
   ・評価についても、学びを育むにはカリキュラムが大切である。
    教科書の使用義務を考えて慎重に進めていかなければならない。
   ・指導あっての評価であるので、個々の研鑽が必要である。



 3、研究発表Ⅰ
   実践提案「自己を主体的に見つめ、より良い生き方を求めようとする心を育てる
          道徳教育の在り方とその指導
         ~自己の生き方についての見方や考え方を深める振り返り~ 」
   提案者  神戸雄介先生(横浜市東本郷小学校

  ①児童の実態把握と学習課題の設定の在り方について
  ②児童が判断基準を見つめ直すことにつながる価値把握の在り方
  ③自己の生き方についての見方や考え方を深める振り返りの在り方
    以上の3点を中心に研究をすすめていることとともに、
    5学年C-(16)よりよい学校生活、集団生活の充実について
    の授業実践の報告がされました。


    事前アンケートの実施と活用、担任以外の教諭との連携した見取りという実態把握の手立てや
   児童の実態と指導の方向から「自分のことで…」「自分が楽したい」この考え方を乗り越えて、他学
   年から信頼されるように活動していくためにはどのような考え方が必要だろう。という学習課題の
   設定をしました。発問では、児童が今の自分たちの見方・考え方と似ていることに気付かせるよう
   にすることや、中心発問では、他学年の「思い」に気付くとともに、高学年としての自覚に気付いた
   登場人物の考えを問うことで価値把握につなげていきたいと考えました。授業の工夫としては、
   キーワードを短冊状にして板書したことがあげられました。また、日頃からよい話し方と聞き方の
   習慣を継続していること、自分の行動の見方や考え方まで振り返ることができるように、他教科の
   学習後でも振り返る時間を設定し習慣づけていること、行事などと本時で扱う内容項目のねらい
   を関連付けて指導を行い、児童の問題意識を高める、という日常の指導や支援についても話が
   ありました。授業を通して、事前アンケートの実施により、児童が問題意識の高まりに気付くことが
   できたとともに、本時においてスムーズに学習課題を提示できたということです。また、担任以外
   の教諭との連携した見取りにより、視点を明確にしたことで、児童の変化を共有することにより、
   より確かな実態把握につながったということでした。

 4、研究発表Ⅱ
   実践発表「生徒の思考を深めるための課題追及型道徳授業
          ~評価を容易にするワークシートや自己評価の活用~」
   提案者  東 克也先生(横浜市立旭中学校教諭)
  
   2学年A-(2)節度、節制の授業実践の報告がされました。

    ①学習課題の明確化
    ②生徒の見取り
    ③評価     
    の3つのポイントを中心に提案がされました。


     生徒の実態として廊下でのじゃれあいなどルールが守られていないという実態から、授業の
    実践をかけたということです。導入では、動機づけとして普段の生徒の様子を視聴覚機器で
    見ることで、気付いていない自分自身の行動に目を向けさせました。中心発問では、教材の
    中から「校長先生の言葉を聞いて、主人公が「涙が出そう」になったのはどうしてか」と問いま
    した。展開後段では、「なぜ、安全に生活することが大事なのだろう」ということを考えさせました。
     この問いにより、生徒は “自分の問題”として考えることができました。導入では気付いていな
    かった自分の行動について、終末では自分自身の現状として気付くことができたことは評価でき
    ることであると考えました。ワークシートの内容から、「自分自身の安全」から「周囲の安全」という
    視点につながる意見をもつ生徒がいました。しかし、発言として引き出すことができなかったので、
    意図的指名を行い全体に共有していくことを意識していきたいという今後の課題も見られました。
    授業後に行う「ふりかえりカード」では、自分の考えや気持ちを発表できたか、友達との意見交流
    で参考になったものはあったか、授業前後では気持ちに変化はあるか、の3点についてA~Dの
    自己評価をとっていることも発表されました。

 5、研究総括
    
富岡栄副支部長(高崎健康福祉大学特任教授)から、児童・生徒の評価と授業評価を分けて
   考えるべきこと、型にはまることなく、いくつかのパターンで道徳の授業を展開することなどの話が
   ありました。

 6、提案模擬授業
    「主体的・対話的で、深い学びのある授業」
        山崎有紀 先生(川崎市立浅田小学校教諭)
       
    6学年C-(16)よりよい学校生活、集団生活の充実をねらいとするNHK道徳教材 ココロ部「最後
   のリレー」を使っての授業です。小規模の学校のため、児童は委員会やクラブ活動などでリーダー
   になることが多いという実態から、「よりよい学校生活を送るために」という価値で考えさせたいと
   本教材を使用しての授業を展開しました。
    NHK道徳教材は起承転結の結の部分がないので、問題解決型に
   展開しやすいのではないかとの考えも発表されました。教材の視聴
   前には「コジマ君の悩みを考えながら見てください」という一言を伝え
  、児童に視点を与えながら7分ほど視聴させたということです。実際に、
   参加者の皆さんにも視聴頂き、「コジマ君はキャプテンとしてどうした
   らよいのでしょうか」について考えを発表しました。
    親友の怪我のことを監督に言うのか、皆に黙っているのか、2つの
   価値で揺れるコジマ君を考えました。実際の授業では、悩みをウェビ
   ング法の紙に書き、道徳ノートに自分の考えを書いた後に全員がネームプレートを貼り、それぞれの
   考えを共有したそうです。ウェビング法で多様な考えを広げることができたという報告もありました。
   模擬授業を受けての研究協議では、ウェビング法は、子どもの考えが可視化できることや、問題
   解決的な授業展開についてなどについてご意見を頂きました。

 7、講演会
    「『特別の教科 道徳』で進める主体的・対話的で深い学び
      ~『主体的・対話的で深い学び』を目指した授業展開と評価」
         講師  諸富 祥彦 先生 (明治大学教授)

    
○グループの話し合いで大切なこと

    ①わかりやすくデモンストレーションをすること
    ②順番を決めて、○番の人の考えについて話し合うと、発言力の差は関係なくなる。
      ★話し合う前に聞き合う。聞き合い学習が大切である。
       その番の人の話で盛り上がる。他の人は聞き、感想を伝える番。
       自分の意見を伝えるのではない。
    ③拍手が大切。拍手がないと安心できない。相手に反応されると誰でも安心する。
       形から入ることが大切である。形ができると自然に気持ちもついてくる。

    ○<モラルスキルトレーニング> ・・・実践につなげるために・・・

     今までの道徳は、心情を問う授業が多かった。型を学ぶ授業だけでは、生きる力(実践)
      には結びつかない。

    わかっていても行動できないのはなぜか?
            ↓
    その行動に慣れていないから。
            ↓
    授業でその行動を練習してみる。
            ↓
    実生活でも、その行動ができるようになる。

    ○問題解決的な学習の例

     「その時、この人はどう考えたでしょうか。」
            ↓
     「その時、この人には何ができるでしょう。」
     「その時、この人に他にできることはないでしょうか。」
            ↓
     みんながHAPPYになる方法を考えることで、道徳的判断につながる。
  
  
 ○授業の中で行う「評価」

    ・「意欲が出るもの」「勇気づけとなる」ような評価にする。
    ・子どもたちは、みんなの前で具体的な言葉(肯定的な言葉)でほめてもらいたい
  
  全体を通して、参加者が周りの人とコミュニケーションをとりながら、
 実践を踏まえて活動できる研修でした。自己紹介し合い、自分が、今
 はまっていることや大切にしている価値について、お互いに話題にする
 などの時間も設けて下さり、穏やかなムードで笑い声が絶えない記念
 講演となりました。

 




8、閉会挨拶 

 
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